探究型授業の活動報告

WWLコンソーシアム構築支援事業の指定終了。
2022年度より自走して「探究型カリキュラム教育」継続中

2019年度(令和元年度)より文部科学省指定事業であるWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の事業拠点校として採択された
関西学院高等部のWWLC構築支援事業が2021年度3月末に事業委託期間満了にともない本事業を終了することになりました。
この事業を終えるにあたり、関わっていただきました運営指導委員、検証委員、カリキュラムアドバイザー、そして関西学院の連携校となっていただいた学校長、
並びにご担当の先生方には、多大なるご協力とご指導・ご尽力を賜り、本事業を無事終えることができますことに感謝申し上げます。
また新たな気持ちで、今後も自走しながら本校らしい取り組みを続けて参ります。

探究型カリキュラム教育目標
探究型カリキュラム教育/学習目標

グローバル探究BASIC 対象:1年生 希望者対象

[授業目標]

【知識・技能】

 ・自分が関心のある社会的課題の内容について、自分の言葉で説明することができる
 ・社会的課題に取り組んでいる団体、組織を訪れてフィールドスタディを実施することができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・自分が関心のある社会的課題について他者に自らの意見を伝える事ができる
 ・自分が関心のある社会的課題について調べ、その解決方法を考案することができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・数ある社会的課題の中から,自分自身がより理解を深め,課題解決をしたいと思うことのできるものをみつけることができる
 ・当該課題と向き合う中で,その課題に関わり学ぶ事が自分自身の人生においてどのような意味を持つのかを自覚する事ができる
 ・社会的課題に向き合う中で、人間は社会的・文化的・歴史的な構造関係の中に存在している事に気づき,社会に参画・貢献する姿勢を持つことができる

ソーシャル探究 対象:1年生全体
地域探究    対象:2年生全体

「自分たちのすぐ近くにあるたくさんの問題を知ろう」

1年生が学年全体で取り組んでいる活動であり、3学期の毎週1時間を利用して、様々な社会問題(ソーシャルイシュー)について知識を深め、自分たち自身でその問題についてリサーチし、その解決策について発表を行う活動です。フードロスや異常気象、エネルギー問題など9つのソーシャルイシューの中から、興味ある問題ごとにグループを構成し、学期の最後には各クラスの代表がパワーポイントなどを用いてそれぞれの関心のある社会問題についてプレゼンテーションを行います。

AI活用         対象:2年生(必修選択 探究1)
AI活用アドバンスト   対象:3年生(選択Ⅰ)

[授業目標]
【知識・技能】

 ・社会で用いられているAI等のテクノロジーが持つ機能や役割、実例などの基礎的な情報を自分の言葉で説明することができる
 ・簡単なプログラムを使って実際にAIを動かすことができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・社会的課題について調べ、AI等のテクノロジー活用した解決方法を提案することができる
 ・AIが人々、社会にとって正しく活用されるための倫理的判断をすることができる ・テクノロジーが人間個人、社会に与える影響を考察することが出来る
 ・上記事項について,他者に適切に提示/説明することができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・AIや新たな技術開発、イノベーションについてより深く知ろうとし、それを用いて解決しようとする姿勢を持つことが出来る
 ・社会的課題に向き合う中で、AIなどに代表されるテクノロジーと上手に共生する必要があることに気づき、人間の本来の生き方について追求することができる

ピーススタディ       対象:2年生(2025年度開講無し)
ピーススタディアドバンスト 対象:3年生(選択Ⅰ)

[授業目標]
【知識・技能】

 ・「平和」の定義について、状況に合わせて可変的に語ることができる
 ・「平和」に関わる社会的課題について、自分の言葉で語ることができる
 ・「平和」に関わるフィールドスタディを通じて、課題に取り組む現場の人たちや一次資料から生の情報を収集することができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・「平和」に関わる社会的課題について調べ、その解決方法を提案することができる
 ・「平和」に関わる様々な価値観や見方を比較検討することができる
 ・「平和」に関わる社会的課題について調べ、そこから得た知識や考察した自分の意見を他者に伝えることができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・世の中の平和実現のために自分が必要な知識や力を身につける意欲を高めることができる
 ・自分が関わる社会がより平和なものになるように、自分に何ができるかを考察し、実際に行動を起こす一歩を踏む姿勢を持つことができる

 2021年度3年生が2年生の時に作成したウォーキングマップです。
 2年間かけて「平和」という大きなテーマを「関西学院と戦争」というローカルな視点から考え
 ARを用いてキャンパス内の戦跡を紹介する「KG PEACE MAP」を作成しました。

KG PEACE MAPの詳細PDFファイル

 

グローバルスタディ       対象:2年生(必修選択 探究2)
グローバルスタディアドバンスト 対象:3年生(選択Ⅰ)

[授業目標]

【知識・技能】

・国際的な社会的課題とそれに取り組む団体・組織に関する知識を身に付ける
・国際的な社会問題を考察できるように調査研究方法と語学力を高める

【思考力・判断力・表現力】

・社会的課題に対する自らの関心に気づく
・問題を自分事にする ・多角的に国際的な社会問題を考察できるよう、批判的思考能力を高める
・学びの成果を社会に向けて発表する

【学びに向かう力・人間性】
・「何」を「なぜ」探究したいのかを追求し、それをすることがどのように社会に貢献するのかを考える
・世界にある多様な価値観を尊重する
・直接の出会いの中から学ぶ
・違いの中から学ぶことができる
・先人の歩み、先行研究から学ぶ、謙虚な姿勢を養い、知の集積を目指す

サイエンス探究       対象:2年生(必修選択 探究3)
サイエンス探究アドバンスト 対象:3年生(選択Ⅰ)

【知識・技能】

 ・現在わかっている基本的な生命現象について、ミクロ(分子・細胞レベル)からマクロ(個体・生態系レベル)の知識を統合して説明できる
 ・サイエンスに関する論文・記事を読み、その内容を科学的に正しく説明できる

【思考力・判断力・表現力】

 ・疑問や課題を解決するための論理的な道筋、実験方法を導くことができる
 ・得られたデータを客観的・論理的に考察し、一連の研究をプレゼンテーションや論文でアウトプットできる
 ・サイエンスに関する論文・記事や、他者の発表に対して、科学的思考に基づいて質問ができたり、疑問を持ったりすることとができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・さまざまな自然現象に対して「おもしろい」と感じ、自発的にさらなる情報を探索して知識を身につけることができる
 ・環境問題について関心をもち、科学的思考に基づいた判断や行動ができる

アート思考       対象:2年生(必修選択 探究4)
アート思考アドバンスト 対象:3年生(選択Ⅰ)

【知識・技能】

 ・アートの理解に必要な歴史的背景やモチーフ・技法・展示方法などを適切に用いることができる
 ・社会課題や哲学的言説について理解し、アートと関連させて説明することができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・アートを見て感じ取ること(=感性)を通して社会課題を多角的にクリティカルに捉え、自分の考えを構築することができる
 ・物事に一つの解答を求めるのではなく、複雑なまま受け入れて熟考することができる
 ・自分自身の価値観やモノの見方を俯瞰し、他との関係性のなかで相対的に意味づけることができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・自分自身を通して自由に世の中を捉えることで、自分の未来の可能性を開いていくことができる
 ・他者の表現や言説を自分の価値観に照らして、主体的に想像することができる
 ・作家が内省を突き詰めて作品と対峙することを追体験することで、内在する自己の有りように向き合う姿勢を身につける

福祉探究        対象:2年生(必修選択 探究5)
福祉探究アドバンスト  対象:3年生(選択Ⅰ)

【知識・技能】

 ・福祉とは何かについて、自分の言葉で説明することができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・福祉に関する様々な社会的課題について、その現状や問題点について、自身の経験や知識を元に思考、類推することができる
 ・福祉に関する様々な社会的課題について、その解決に至る道のりを論理的に思考することができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・福祉に関する様々な社会的課題について、それらの困難に直面している人々のことを想像することができる
 ・福祉に関する様々な社会的課題について、それらの課題を解決し、社会的に弱い立場にいる人々に手を差し伸べることができる

エネルギー探究       対象:2年生(必修選択 探究6)
エネルギー探究アドバンスト 対象:3年生(選択Ⅰ)

【知識・技能】

 ・世界中で課題とされているエネルギー問題の概要を、基礎的な用語を用いて自分で説明することができる
 ・日本で課題とされているエネルギー問題の概要を、基礎的な用語を用いて自分で説明することができる
 ・各発電方法のメリットとデメリットを、基礎的な用語を用いて自分で説明することができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・卑近な社会的課題について調べ、エネルギー問題との関わりを見出して言語化することができる
 ・エネルギーの生産と消費について、各地の地域性に基づいて課題の本質を見極めることができる
 ・エネルギーが社会に与える影響について、様々な分野において考察することができる
 ・上記事項について,他者に適切に提示/説明することができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・次々と更新されていくエネルギー問題について、より深く、より新しい情報を得ようとする姿勢をもつことができる
 ・卑近な社会的課題の中から、根底にエネルギーが日々の生活を支えている点との関わりに気づき、個人の生活の在り方、社会の在り方について追求することができる

生活文化        対象:2年生(必修選択 探究7)

【知識・技能】

 ・家事労働の意義と課題を自らの言葉で説明することができる
 ・家事労働を協力・協働、健康・快適・安全、生活文化の継承・創造、持続可能な社会の構築等の視点で捉え、
   よりよい生活を営むためのはたらきとして実践したり提案したりすることができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・家事労働に関する知識、実際の関わりを通して課題を設定し、解決策を構想し、実践を評価・改善し、考察したことを根拠に基づいて理論的に表現することができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・家事労働を見つめなおす中から課題をみつけ、研究・調査をしながら課題を解決しようとしている
 ・家事労働に関し、いつの時代にも生かすことのできる知識と技術を身に付けるにはどうしたらよいかを考え、もって社会全体の生活を向上させようとしている

教育探究        対象:2年生(必修選択 探究8)

【知識・技能】

 ・自分が関心のある教育の課題について、自分の言葉で説明することができる
 ・先行研究、先行事例の分析を踏まえて、フィールドワークを実施して調査することができる

【思考力・判断力・表現力】

 ・自分が関心のある教育に関する課題について他者に自らの意見を伝える事ができる
 ・自分が関心のある教育に関する課題について調べ、その解決方法を考案することができる

【学びに向かう力・人間性】

 ・主体性をもって、粘り強く学習課題に取り組もうとしている
 ・教育に関する課題を自分事とし、その課題解決を通じて社会に参画・貢献しようとしている

歴史探究        対象:2年生(必修選択 探究9)

【知識・技能】

 ・「人類の長い歩み」について、正しい知識を身に着けている
 ・過去から現在に至る道筋を整理して、現在の持つ意味を確かめている
 ・未来を築こうとする時に、それを役立てようとしている

【思考力・判断力・表現力】

 ・歴史上に表出した出来事の中から、自らの関心に基づく問題について調べ、その解決方法を考えている
 ・自ら採り上げた歴史上の問題点を、多角的に考察し・批判的な検証を行っている
 ・課題を自ら調べ、そこから得た知識や考察といった成果を、他者に向けて発表しようとしている

【学びに向かう力・人間性】

 ・自ら立てた問い・結論付けたことを、社会的に披露・伝達しようとしている
 ・先人の歩み・先行研究を謙虚な姿勢で学び、その上に知の集積を行おうとしている

ツーリズム探究     対象:2年生(必修選択 探究10)

【知識・技能】

 観光/ツーリズムの歴史から観光/ツーリズムの本質、人間や社会にとっての観光/ツーリズムの意味について理解する

【思考力・判断力・表現力】

 観光/ツーリズムに関する知識を、自身の経験やこれまでの知識と結びつけ、新たな見識・興味関心へと広げる

【学びに向かう力・人間性】

 実社会の事象に関心を持って、観光/ツーリズムの知識を活用して、自分なりの問題意識を見つけ、改善に向け行動できる