[SGH]GGPグローバルセミナーを実施しました。<吉岡秀人氏>

2019.01.09

日 時:2018年12月12日(水)10:00~11:00 高中部礼拝堂にて
対 象:GGP/GLP 全校生徒
講 師:吉岡秀人氏 (医師、特定非営利活動法人ジャパンハート最高顧問/ファウンダー)
テーマ:ジャパンハートによる国際医療活動を通して「人生」を考える


GGP講演会(吉岡氏)

 12月12日(水)高中部礼拝堂にて、特定非営利活動法人ジャパンハート最高顧問で医師の吉岡秀人氏をお招きし、GGPグローバルセミナーを行いました。ジャパンハートは、2004年に設立された日本発祥の国際医療ボランティア団体です。1995年にミャンマーで無償の医療活動をスタートしてから、ジャパンハート設立に至るまでの吉岡氏の軌跡と、現在のジャパンハート活動記録や現地の様子など、映像や資料を交えながらお話しいただきました。

GGP講演会3

 吉岡氏は、10代の頃にご自身の生き方について深く考えた結果、何かしなければという思いに駆られ、医師になって困っている人たちを助けようと奮起されました。約32万人いる中で医師は吉岡氏ただ一人、医療費負担も高く、手術できる設備もないという貧しい街で、当時できることから一つずつ始められたそうです。一生病気のまま生きていかないといけない子どもたちをとにかく助けたいという一心で医療に従事されていましたが、外表先天疾患を持つ子どもが恥ずかしさから殆ど話さず下を向き、学校にも通えないことなどに心を痛められました。疾患が子どもたちの教育の機会をも奪っていると知り、今そこにある命を助けるだけでなく、その人たちの生活の質を上げることも重要だと、医療の使命について改めて考え直すきっかけとなったそうです。また、患者の家族の心が救われるような医療を施したい、たとえ人生の最期を迎えようとしている病気の子どもに出会っても、その子のために全力を尽くすこと、自分の仕事はそういった活動の連続だが医師になって本当によかったと思える、とも話してくださいました。

GGP講演会3

 講演会の後半は、認定NPO法人ジャパンハートにおける現在の海外医療活動についてお話しいただきました。カンボジアの病院では、今年8月から癌の子どもたちの受け入れが始まり、日本の大学から医師団が現地へ赴き、多くの子どもたちが医療を受けることが可能になりました。この1年間で学生をはじめ多くの人々がボランティアで日本から出向き、現地の医療現場で働いています。「目の前の時間をどう使うか、人生の『豊かさ』とは目先の利益だけを追うのではなく、人のために働き自分の存在価値を高めることです。そして物事に取り組んだそのプロセスから得られるものは計り知れないほど貴重なものとなるでしょう。失敗しても構いません、辛い経験もコンプレックスも全てが皆さんの人生の糧になるはずです。」と、生徒たちへ熱い激励のメッセージを送ってくださいました。

生徒の感想

●実際に手術が成功した例などを見たが、手術を控えた現地の子どもを紹介していた時に吉岡先生が「軽度なので成功するでしょう。」とおっしゃっていたのが印象的だった。よく考えてみると、日本では軽度と診断されるものでもミャンマーでは治療することが困難である、ということだと感じ取った。ありがたいことに日本は医療が発展している。患者さんは多くいるが、そのほとんどが十分な治療を受けられているだろう。日本は高度な医療技術を持っている国として、医療制度が整っていない国の人たちを助けるのは当然だと改めて感じた。また、はじめは吉岡先生ただ一人だったが、その考えに賛同した多くの若者が現地で活躍していると知った。その中には中高生もいるらしい。私が日本で過ごしているうちに実際に行動している同世代の人たちもいるのだ。私も見習って、吉岡先生がおっしゃっていたように挑戦をして、経験を積み重ねていくべきだと思った。
●料理人が現地に行って「食」の面からサポートしていることが、一番印象に残った。医師や看護師など医療関係の人しか現場にいないと勝手に思い込んでいた。別のGLP授業でも学んだが、専門性を持っていればどの方向からでも支援することができるのだと気付かされた。賛同者が現れるのも、吉岡さんの行いや考えが素晴らしいからだと思う。今日の話を聞いて、私もこんな考えを伝えられるような人になりたいと思った。写真とメッセージのインパクトが強かった。
●私たちが唯一この世の中で増やすことができないのは「時間」であり、若い時から時間を大切にして「今」を大事に生きる人が本当の知恵を持っているということだ、という話が印象的だった。
●みんな与えられた時間は同じでも、どう過ごすかによって全く違うものになるという言葉がとても心に残っている。せっかく時間が与えられているのだから、そのことに感謝して、精一杯生きていきたいなと思った。そして、自分のためだけに時間を使うのではなく、身近なことから自分にできることを少しでも探して、力を尽くしていけるような人になりたいと思った。
●一番印象に残ったのは、インタビュー映像の中で吉岡さんが「目の前の命は何もしなければ死ぬ。だから自分は苦しいこともあるけど、ただ救うだけだ。」とおっしゃっていた言葉です。
●「押し付けの支援」という言葉が印象的だった。どこかで自分に自惚れていて、先進国に住んでいるのだから支援するのが正しい、という考えを見透かされている気がした。自己満足だけの考えは捨てて、自分のできることを見つけたい。