[SGH]海外フィールドワーク 参加報告<カンボジア>

2016.10.04


アンコールワットにて

8月19日(金)から25日(木)にかけて、海外フィールドワークでカンボジアのシェムリアップを訪問しました。
GLP2年生のうち12名が参加しました。
海外フィールドワークの目的は、カンボジアの歴史や文化を学び、現地で日本が行っている国際協力の現場やNPO、海外協力隊などの活動について学び、今後の課題研究に取り組むうえで、国際協力に関する実践の場を体験することです。
ここでは主な日程と活動報告、および参加した生徒の感想を掲載いたします。

注記:
*JASA(日本国政府アンコール遺跡救済チーム)JAPAN-APSARA Safeguarding Angkor
*JST (アンコール遺跡の保全と周辺地域の持続的発展のための人材養成支援機構)
  Joint Support Team for Angkor Preservation and Community Development
*AKC(アンコールクラウ村コミュニティーセンター)Angkor Krau Community Center

8月20日(土)

訪問先:アンコールワット、JASA*、JST*
研修テーマ:カンボジア概観、歴史と遺跡修復支援について

「この研修はたった1週間という短い期間であったが、とても密度の濃いスケジュールで学ぶことがたくさんあった。強く印象に残ったものは、アンコール遺跡群の圧倒的な迫力とアンコールクラウ村をはじめとした子どもたちの笑顔だ。一方で、町から10km足らずの村周辺の道路は舗装されておらず、水や電気がほとんどない生活を強いられており、『格差』の問題が著しく見受けられた。この問題を今後の課題研究の題材に組み入れたいと考えている。」(牛場)


チア・ノル氏による遺跡案内


アンコールクラウ村の民家           シェムリアップの街中の様子

8月21日(日)

訪問先:AKC*、オールドマーケット
研修テーマ:国際協力視察、「農村自立支援」について

「私がカンボジア研修に参加した理由は、発展途上国の食糧事情について知りたいと思ったからです。先進国は捨てられる程(食べ物が)余っているのを知り、発展途上国はどうだろうかと疑問に思いました。アンコールクラウ村での散策の時、家の周りの植物や動物で自給自足していると聞きました。またご飯の残りを豚に与え、その豚の糞を鶏のエサにしているとも聞きました。日本での生活では考えられない循環型社会がその村にはあって、とても驚いたと同時に日本よりも素晴らしいなと感じました。先進国と発展途上国を比較し、両方の利点を取り入れながら、持続可能な社会にしていけたらいいな、と思いました。ガイドをしてくださったチア氏に感謝したいと思います。」(千葉)


AKCでスタッフと一緒にランチを作る生徒たち

「(日本とは)こんなにも環境が違うなかで、AKC*にいる子どもたちはとても幸せそうだった。日本とカンボジアの子どもを比べ、どちらが良いかはわからない。確実に言えるのは、住んでいる環境は全く関係ないということである。むしろ、清潔な環境にずっといる私たちの方が窮屈な空間で過ごし、笑顔が少ないと思う。チア氏の話を聞き、卒論のテーマである『難民問題』とつなげることができた。難民の認定までにも認定後も、様々な困難が待ち受ける。大きな問題であることばの壁と人種の違いをどうなくしていけるかが重要である。」(古澤)


村の子どもたちから現地の遊びを教えてもらう生徒たち       村の子どもたちとうちわ作り

8月22日(月)

訪問先:JASA*・奈良文化財研究所・上智大学チームの各修復現場、バイヨン寺院、Moi Moi農園
研修テーマ:国際協力視察、「遺跡修復を通した人材育成支援」について

「この研修を通して多くのことを学び考えました。その中でも地域によって発展の差が極端に大きいことに衝撃を受けました。近代的なお店やレストランが立ち並ぶ中心部から少し車を走らせると、景色は一変して水田や木造の民家などが目立つようになりました。また、都市部と農村部では、生活様式も大きく異なりました。この格差は、ポル・ポトの虐殺の影響が今も続いていることや、観光地としてすぐに整備するところと後回しにしてもいい所に分けられているからではないかと考えました。良いことの裏には必ず悪いこともあり、悪い面を見抜いて物事を考えることの重要性、また支援・ボランティアの在り方なども学びました。」(長谷川)


「トゥクトゥク」と呼ばれるタクシー         奈良文化財研究所の考古学者のレクチャー


アンコールワットで遺跡修復体験            壁画にも細かい修復作業が行われている

8月23日(火)

訪問先:バイヨン中学校、トンレサップ湖、日本ユネスコ協会連盟支援の寺子屋
研修テーマ:国際協力視察、「教育支援」「漁村自立支援」について

「カンボジアの貧しさとは、自分の能力を最大限に活かす・開花させる機会がないことだと感じました。ここの子どもたちは、豊かな才能があるのに労働に時間を奪われ、美術や音楽に触れる機会がない。子どもの可能性を潰すこと、これは一つの遺跡を潰すくらい勿体ないことだと思いました。」(西田)


トンレサップ湖で生活する人々        「ホテイアオイ」を使ってコースター作りを教わる

8月24日(水)

訪問先:NPO法人「かものはし」、タ・プローム寺院
研修テーマ:国際協力視察、「農村自立支援」

「農村の子どもたちは経済的な理由で教育を受けられなかったり、中退してしまうことが多い。バイヨン中学校やかものはしファクトリーでは、彼らに読み書きや、栄養バランスなど普段彼らが考えないことを教え、ひいては長期的に持続して学校や仕事に行くことを学ばせていた。彼らにとって必要な教育は、難しい数学の問題などではなく、もっと根底にある生活のための学びが必要だと感じた。」(三木)


バイヨン中学校で現地の学生と一緒に